「子午線」2号、作品紹介

「子午線」2号、作品紹介

栗原洋一「岩船」「櫂ノ歌」
90年に刊行され、今も神話的に語られる詩集『吉田』で知られる孤高の詩人が、伊予風土記という逸文をモチーフに「われわれの光芒」を長歌「岩船」とその反歌「櫂ノ歌」という形で記した詩です。非常に厳しく、心底からの緊張を強いられる詩ですが、多くの人に読まれるべきだと思います。

星野守「海へ(逝く夏の)」「港へ(風の)」「晩鐘」「秋」
星野さんは98年に70年代からの詩を纏めた詩集『火は森を狂わせるのか…•』を刊行されています。巻頭に置かれた「俯瞰図」という詩の持つ抒情が80年代を経過した20年以上後の巻末の詩まで持続していることに震撼させられる詩集です。それは今回の四篇の詩でも保持されており、深い感動を覚えました。「夏」と「秋」というのは作者にとって特権的な季節であり、「火は森を〜」も「帰る夏」「夏の来る朝」の2篇のあと「最後の秋」という詩で締められています。

杉本徹「コロニアグエル──惑星日誌」
『十字公園』『ステーション・エデン』というこれまでの二冊の詩集において、現在の抒情詩の臨界点を示してきた作者による夏の詩です。緊張を孕んだ繊細さが詩の最後まで崩れることなく保たれていて、杉本さんの抒情詩に対する強い意志を感じさせられます。非常に困難なことを試みられてると思います。

山崎高裕「アリス、アリス、」「アーリー」「CYBORGANISM(賽ぼるがにずむ)」
これらは9月7日に西荻窪で行われた中尾太一岸田将幸の現代詩文庫発刊記念朗読会で作者自身によって朗読された2篇に7年前に書かれたという「アリス、アリス、」を加えたものです。山崎さんはこの数年間、詩を発表されていませんでしたが、このような傑作を発表ぜずにいたことを読まれた方は驚くと思います。また朗読された2編の詩を読むことで先日のイベントがどのようなものであったかを僅かでも感じていただきたいです。

服部史佳「ウォーキン」「白日夢」「藍を見送る」「書き間違える賛辞」
服部さんは「現代詩手帖」の投稿欄にその詩が掲載され始めた時から気になっていたのですが、あるきっかけで入手した同人誌に掲載された「砂礫の海」という詩がとても良かったので、ご寄稿をお願いさせていただくことにしました。今回の4篇の詩ではそれぞれ異なる詩作が企図されていますので、作者によるその試みをお読みいただければと思います。

11月上旬には各所主要書店に並ぶと思いますが、「子午線」vol.2は通販の予約を受け付けています。
ご注文はこちらから→http://shigosen2011.web.fc2.com/

11月4日(月・祝)文学フリマ「エ-40」でも頒布します。よろしくお願いします。